支援事例

公益社団法人 京都観世会

京都観世会では初となる、デジタルマーケティングを中心に据えたプロモーション施策で各公演への集客効率の大幅アップを実現。

狙ったターゲットへのアプローチをすることによる効率性の高い集客が可能に。

  • プロモーション・集客支援
更新日
公益社団法人 京都観世会 観世流シテ方能楽師 河村晴久様 / ノボノ株式会社 代表取締役 平原 大志 / 公益社団法人 京都観世会 事務局長 出口雅三様
PROJECT
・令和5年度親子向け能楽公演集客支援
・令和6年度インバウンド向け公演集客支援
CLIENT
公益社団法人 京都観世会
・事務局長 出口雅三様
・観世流シテ方能楽師 河村晴久様

ご依頼の背景・課題 | 親子教室

平原

今回デジタルマーケティングを中心に据えた集客施策を実施することになった背景についてお聞かせください

出口様

発端となったのは、令和5年度の京都府文化体験機会創出事業に採択されたことでした。高校生までの若い世代を対象に、親子で文化芸術を鑑賞する機会を提供する趣旨の事業で、お客様は京都府の助成により、無料で能を鑑賞できる公演でした。
通常、公演を主催する際には広報費にかける予算はそれほど取れないのですが、広報にも助成金が出るとのことで、検討が始まりました。当初、俎上に上がったのは、新聞広告や電車広告といった、これまで利用してきた広報手段でした。しかし、実行委員会内でこれでは本当に届けたいお客様に届かないのではないか、という声が上がり、インターネット上での広報を検討していたところ、縁あってノボノさんにお願いすることになりました。

全写真にキャプションを入れますか?

施策と成果 | 親子教室

平原

施策として、イベント用のLPを作成し、Meta広告・Google広告を対象となる親御さんの年齢層・関西地域に絞って打ち出しました。実施したご感想をお聞かせください。

出口様

令和4年の年末から打ち出し、年明けに結果を確認したところ、2週間弱で2公演分の目標である、900人分のチケットが完売し、あまりの速さに驚きました。通常の無料公演はチラシを作成し、配布して集客を募りますが、なかなか満員にはなりません。無料とは言え満員になったことに、デジタルの強さを実感する結果となりました。
ここでの成功体験が、後々のインバウンド向け公演のお手伝いをノボノさんにお願いするきっかけとなりました。

親子教室のキャプションが入る
親子教室のキャプションが入る

ご依頼の背景・課題 | インバウンド向け公演

平原

親子教室とは打って変わって、すべて英語でのインバウンド向け公演を実施されましたが、このような公演はこれまでも実施されていたのでしょうか。

出口様

通常、開催する公演には、5%ほどインバウンドの方がいらっしゃることはあったのですが、完全にインバウンドの方を対象にした英語のみの公演は初めてでした。文化庁の「令和6年度日本博2.0を契機とする文化資源コンテンツ創生事業」に採択されたことがきっかけとなり、インバウンドの方向けに英語での解説と字幕サービスをつけ、分かりやすく能を解説し、一定クオリティの舞台を観ていただく公演を企画することとなりました。広報にも予算を充てられるため、これはノボノさんにお願いしたい、となりました。
今まで実施したことのない取り組みのため、英語でのチケット予約システムを導入しつつ、本当に観光中のインバウンドの方を集客できるのか、少し不安でした。

施策と成果 | インバウンド向け公演

平原

参加意欲が高い英語圏を対象とし、旅行の検討段階である「タビマエ」・旅行中である「タビナカ」の旅行客の方にアプローチできるよう、LP制作の他に、各種旅行メディアへの掲載や、Meta広告・Google広告、街頭での訪日外国人のみをターゲティングしたチラシ配布等、弊社としても様々な施策を模索しながら進めました。実際に施策を実施されてみていかがでしたか。

出口様

2回公演を実施しましたが、各回とも目標である150名ずつを集客することができ、そのうち70%以上の方が旅行中のインバウンドの方々だったため、満足のいく結果となりました。各回20名限定の、楽屋という神秘的な空間を味わうバックステージツアーを実施しましたが、そちらも完売となりました。年齢層が20~40代の方が多かったのが特徴で、高齢な方が多い通常の国内公演とは異なった雰囲気となりました。タビマエよりも、タビナカにチケットを購入される方が多く、公演直前の1週間で売り上げが急増したことで、本当に安心しました。実際に文化庁の方にも足を運んでいただきましたが、盛況な様子にお褒めの言葉をいただきました。また、開催月によっても集客の可能性が変わることなど、知見を得られました。

インバウンド向け公演のキャプションが入る
平原

実際にご覧になった方の感想はいかがでしたか。

出口様

アンケートを実施したのですが、大変好評で、皆さんからわかりやすく満足という回答を頂戴しました。ヨーロッパの方、特にドイツの方が多く、アメリカ・オーストラリアなど英語圏の方々が中心でした。今回の公演では、企画段階から一般社団法人Discover Noh in Kyotoの方々にご協力をいただき、全編英語でのバックステージツアーを用意したのですが、大変好評で、来年も実施したいと思っています。

バックステージツアーの様子

今後の展望

平原

引き続きインバウンド向け公演は実施されるご予定でしょうか。今後の展望をお聞かせください。

出口様

ちょうど申請中ですが、大変好評をいただいたため、今後も実施できればと考えています。本年は、年に4回公演を行う予定で、より大規模になっていく想定をしています。

河村様

インバウンドの方向けの提示の仕方はまだ確立されておらず、今後も伝え方は研究していきたいと考えています。日本語の直訳で話していても概念が異なるため、同じようには伝わりません。海外の方の思考回路で、能の世界を伝えることが必要となります。

能の普及活動における課題

平原

親子教室・インバウンド向け公演の集客を通し、能楽の普及に関して感じられる課題はありましたか。

河村様

能は決して簡単ではないので、普及活動に傾きすぎてエンターテインメントとなってしまうのも違うと考えています。奥深い本質があるということをお伝えすることが必要で、その塩梅を試行錯誤しながら公演を企画しています。能楽がもっと人気のある芸能であれば良いのですが、現状は普及活動をする必要があり、能楽師は普及活動に忙しいです。本来はノボノさんのような普及に特化した方々に特に集客部分はお任せし、能楽師は芸を磨くのに専念したいところではありますが、なかなかそうはいきません。

平原

普及活動をしながら芸を磨くのは大変ですか。

河村様

できる人はできるし、できない人はできない、というのが答えだと思います。戦中の方たちは食べるものがない厳しい中でも稽古をして能を舞っていました。このため戦中の方たちの芸はとても強いです。我々は生まれた時から稽古をする舞台があり、親世代には、「お前たちは環境が良くていいな」と言われ続けて育ちました。決して普及活動を言い訳にしてはいけないと考えます。

能の持つ可能性

平原

能はどのように教育に影響するのでしょうか。

河村様

能をやっていると、伊勢物語や源氏物語など日本の古典文学に自然に親しむことになります。この古典の一節はなんとなく聞き覚えがあるな、となり、精神性・感受性を育むことができます。それは花や景色など、綺麗なものを綺麗だと感じる心を育むということです。自分の目で見て感じることで、自身の見方を形成できるようになります。それが後々、グローバル化の進む社会で国の外に出た時にも、「わたしの良いと思うものはこんなもの、あなたの良いと思うものは?」と、自身の文化を持ちつつ、相手の文化を尊重することができるようになり、真の意味での文化交流がかなうのだと思います。

平原

能には、生と死の狭間の美意識もあると感じます。幼いころから触れることで育むことができるようになるのですね。それには膨大な時間もかかると感じました。

河村様

だからこそ、子供のときから触れる機会を創っていただきたいと思います。個人としては、学校教育の場に能を取り入れていただくことを促進するような取り組みもしております。京都に能楽堂はたくさんあるため、小学校の芸術鑑賞の機会として、取り入れていただくことを念願しております。